在留資格変更許可申請の添付書類を、案件の型ごとに揃える手順
在留資格変更許可申請の添付書類は、「入管庁の一覧をそのまま揃える」だけでは落ちることがあります。法令が定める土台と、所属機関のカテゴリーで増減する部分、理由書の主張を裏付ける部分は、それぞれ別の理屈で決まるからです。この記事では、技術・人文知識・国際業務(以下「技人国」)への変更を例に、書類を案件の型ごとに揃える手順を整理します。2026年に入ってからの追加書類と手数料の改定も含めます。
1. 土台:施行規則第20条と別表第三
在留資格変更の手続は、入管法第20条を受けて入管法施行規則第20条が定めています(施行規則第20条)。提出するものと提示するものを分けて読みます。
| 提出するもの(第1項・第2項) | 別記第三十号様式の申請書1通。写真1葉。申請に係る在留資格に応じた別表第三の下欄の資料と、その他参考となるべき資料各1通。ただし、地方出入国在留管理局長が省略しても支障がないと認めるときは、一部または全部を省略できる |
|---|---|
| 提示するもの(第4項) | 中長期在留者は旅券と在留カード。それ以外は旅券または在留資格証明書。資格外活動許可書の交付を受けている人は、その許可書 |
| 写真が不要な場合(第3項) | 1歳未満、3月以下の在留期間を希望する人、短期滞在・外交・公用への変更など。技人国への変更では通常は必要 |
別表第三の技人国の項は、資料を次の4系統で定めています。この4系統が、どの案件でも変わらない骨組みです。
| 一 | 招へい機関の登記事項証明書および損益計算書の写し |
|---|---|
| 二 | 招へい機関の事業内容を明らかにする資料 |
| 三 | 卒業証明書または活動に係る科目を専攻した期間に係る証明書、および職歴を証する文書 |
| 四 | 活動の内容、期間、地位および報酬を証する文書 |
一と二は所属機関の側、三は申請人の側、四は両者の間の契約の資料です。チェックリストは、まずこの4系統で枠を作ります。
2. 増減:所属機関のカテゴリー
実際に求められる書類は、出入国在留管理庁が公表する提出書類の案内で、所属機関のカテゴリーに応じて増減します(技人国の提出書類の案内)。施行規則第20条第2項ただし書の「省略」が、カテゴリーという形で運用されていると理解すると、一覧の意味が分かりやすくなります。
| カテゴリー1 | 日本の証券取引所に上場している企業、保険業を営む相互会社、国・地方公共団体、独立行政法人、特殊法人・認可法人、公益法人、法人税法別表第1の公共法人、イノベーション創出企業、一定の条件を満たす企業等 |
|---|---|
| カテゴリー2 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表で、給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人。または、カテゴリー2と同様の添付資料で申請することを希望し、カテゴリー審査の資料を提出したうえで在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関 |
| カテゴリー3 | 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) |
| カテゴリー4 | 上のいずれにも該当しない団体・個人(設立初年度など) |
案件を受けたら、最初に所属機関のカテゴリーを決めます。カテゴリーが下がるほど、別表第三の一と二(機関側の資料)が厚くなり、四(契約の資料)に加えて業務内容の説明が求められます。
2026年4月15日以降の追加書類
出入国在留管理庁の案内によると、2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3または4に該当する場合は次の書類が追加されています。
- 所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)
- 主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合、業務上使用する言語について CEFR B2 相当の言語能力を有することを証する資料。日本語については、JLPT N2 以上、BJT 400点以上、中長期在留者として20年以上の在留、日本の大学卒業や専修学校の専門課程修了、日本の義務教育修了と高校卒業などがあれば、B2 相当とみなされる
翻訳・通訳やホテルのフロント業務など、言語能力を主に使う職種では、この証明の有無が書類の揃い方を左右します。在留中の人でも、転職や業務内容の変更で該当することがあります。
3. 裏付け:理由書の主張に対応させる
別表第三とカテゴリーで決まるのは「出さなければならない書類」です。それとは別に、理由書で主張した事実を裏付ける資料を、主張ごとに対応させます。これが「その他参考となるべき資料」の中身です。
| 学歴と業務の関連性 | 成績証明書(科目名で対応づける)。別表第三の三の「卒業証明書」だけでは、専攻科目まで分からない |
|---|---|
| 業務の専門性と割合 | 業務内容説明書。雇用契約書の職務内容欄だけでは、作業の単位まで分からない |
| 報酬の同等性 | 給与規程や、同種業務の日本人社員の報酬が分かる資料。雇用契約書の金額だけでは比較にならない |
| 実務経験で立てる場合 | 在職証明書など、期間と業務内容が連続して確認できる資料 |
理由書の組み立て方は、学歴と業務の関連性をどう書くかで整理しています。そちらの各項と、この表の各行を対応させると、理由書と添付資料がずれません。
4. 手続の確認:提示書類と手数料
書類が揃ったら、提示するもの(旅券、在留カード、資格外活動許可書)と手数料を確認します。手数料は、出入国在留管理庁の案内によると、2026年10月1日から、許可される在留期間に応じた額に改定されました(在留資格変更許可申請の案内)。
| 3月以下 | 10,000円 |
|---|---|
| 3月超6月以下 | 18,000円 |
| 6月超1年未満 | 25,000円 |
| 1年 | 33,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 |
2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の6,000円です。一定の要件を満たす人は減額または免除され、減額後は在留期間にかかわらず10,000円です。依頼者への事前の見積りには、希望する在留期間と手数料の対応を入れておきます。
5. チェックリストの作り方
以上を、案件の型ごとに一枚にまとめます。順番は次のとおりです。
- 骨組み:別表第三の4系統(機関側2つ、申請人側1つ、契約1つ)
- 増減:所属機関のカテゴリーを決め、出入国在留管理庁の案内でカテゴリーごとの書類を当てはめる。カテゴリー3・4は2026年4月以降の追加書類を忘れない
- 裏付け:理由書の主張ごとに、その他参考資料を対応させる
- 手続:提示書類と、希望する在留期間に応じた手数料
この順にしておくと、「法令で必須のもの」「カテゴリーで変わるもの」「主張のために足すもの」が分かれ、依頼者に何をなぜ頼むのかを説明しやすくなります。
6. つかさでの進め方
つかさの書類生成(手順4)は、申請理由書のドラフトと一緒に添付書類のチェックリストを作ります。準備できたものにチェックを入れて、案件ごとに保存できます。
- 案件入力で、所属機関のカテゴリーと言語能力を主に使う業務かどうかを案件概要に書いておくと、要件確認と書類生成に反映されます
- カテゴリーごとの取扱いや、申請先ごとの運用の違いは、事務所のノウハウとして登録しておくと、次の案件のチェックリストに活かせます
- 出入国在留管理庁の案内は更新されます。チェックリストは案件ごとに、案内の最新版と照らしてから使ってください
よくある質問
別表第三の資料は、必ず全部出さなければなりませんか?
施行規則第20条第2項ただし書により、地方出入国在留管理局長が一部または全部の提出を省略しても支障がないと認めるときは省略できます。実務上は、所属機関のカテゴリーが上位であるほど省略される資料が多くなります。
カテゴリーは誰が判定しますか?
申請人の所属機関がどの区分に当たるかを、申請側が確認して申告します。カテゴリー1は上場企業など、カテゴリー2は前年分の法定調書合計表で給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人など、カテゴリー3はその法定調書合計表が提出された団体・個人、カテゴリー4はいずれにも当たらない団体・個人です。詳細は出入国在留管理庁のページで確認してください。
手数料はいつの時点の額が適用されますか?
出入国在留管理庁の案内では、2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額(6,000円)です。それ以降の申請は、許可される在留期間に応じた額になります。
法令の条文や制度の全体像を調べるなら、同じ基盤の法令調査サービスことのりをご利用ください。
出典
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第二十条(在留資格の変更)昭和五十六年法務省令第五十四号
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第三(技術・人文知識・国際業務の項)同上
- 在留資格変更許可申請(手続案内・手数料)|出入国在留管理庁2026年10月4日閲覧
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(提出書類・カテゴリー)|出入国在留管理庁2026年10月4日閲覧
本記事は参考情報です。制度の詳細や最新の取扱いは、必ず一次情報(e-Gov 法令検索、出入国在留管理庁・国土交通省・各都道府県の公表資料)で確認し、個別の案件は有資格者の判断で進めてください。